おやすみ

しがないオタクです。

オタクふたり暮らし所感

こんにちは初めまして。しがないオタクです。
同性のオタクと、ふたり暮らしを始めて、1年半ほどが経ちました。

先日Twitterで見かけたブログ記事を読みまして、
koke-koke.hatenablog.com
クィアを自認していて、
・同性の友人とのふたり暮らしをしていて、
・それゆえ世の中に思うことがある
と似たところが多くて、共感の嵐が吹き荒れたので、私も自分のことを書き置きたいな……と思いました。

軽率に叶えた夢

ふたり暮らしをしていることについては、未だに新鮮な驚きがあって、
人生の急ハンドルを切ったものだな…と感慨深くなります。

一年半ほど前、趣味のライブが全て中止になり、人に会うこと自体減って、人恋しさがあった時期でした。
色々あって、私は当時一人暮らしをしていた家から引っ越さねばならなくなり、
「人生の中で、独身女オタク二人が一緒に暮らし始めようとすれば、このタイミングでやるっきゃないのではないか?」と思って、
彼女に声をかけたのでした、ふたりで住みませんかと。

何よりご家族の理解と協力あっての暮らしなので、本当にありがたく思っております……。
お互いワンルーム一人暮らしをしていた頃に、相手の家に1週間くらい泊まったことがあり、「問題なく暮らしをやっていける」という確信が既にあったことも大きいです(何事もお試しは大事)。

学生時代、気の合う同性の友達と「私たち、○○才になって結婚してなかったら、一緒に暮らしたいよね~(笑)」と言い合ったことが、あなたにもあるかもしれません。
あるいは、「老後は気の合う友人達と集まって、オタクだらけの老人ホームに住みたいよね~」とか。オタクに限らないかもしれませんが。

こういう冗談みたいな願望を、「叶えるなら今しかない!」という勢いで成し遂げたのが、今の私の暮らしになります。

ルームシェア可の物件少ない問題

ルームシェア可の物件、本当に少ない。
いざ直面すると結構びっくりしたものでした。

引っ越しの際には、良い物件を見つけてから断られるのもな……と思い、最初から「ルームシェア可」を条件に入れて探していたのですが。
スーモくん、うちの近所だと、普通に探したときの10分の1くらいの検索結果じゃないか……?
(なお、使うかはさておき、検索条件に「LGBTフレンドリー」という項目もあり、時代は変わりつつあるなぁと思います。)

マイノリティはいつだって説明を求められるものです。
もし恋人です、と言えば、「どうして一緒に暮らすんですか?」なんて聞かれないと思うんですよね~(モヤ)。

一介のセクマイとしては、
異性の恋人同士なら射程圏内であろう「結婚」のお得さ、世間的な価値の大きさ。
その遠さを思い出してはクラクラしてしまいます。

恋人ではない人と一緒に暮らすという選択肢、もっと広まっていいぞ~。

関係性を言葉にする

生活を共にする我々ですが、制度的/観念的に「こういう関係です」と説明するのが難しいな、とつくづく感じます。

一般に「友達とのルームシェア」でイメージされるより近い距離感で、二人三脚的に生活していると思うし、
「パートナー」と言うと恋人や配偶者を指して言うイメージがあって、ちょっと違う。

同居人とは10年来の長い付き合いで、「幼馴染」と説明するのが一番簡単なのですが。
私から見た彼女との関係は、「一緒に同人誌作ったりした、推しジャンルが被ったり被らなかったりする、良きオタク友達」兼、「現在生活を共にしている同居人」という感じです。
「(同人サークルの)相方」が一番しっくり来ますが、伝わりづらいですね。

我々は、我々のこの関係性だからこそ、うまくやっていけているのだとも思います。
私は恋人と暮らしたことは無いですが、恋人と暮らすより気楽にやっていけてると思う。

「恋愛」や「結婚」というと、何かその関係性の名前に応じた責任感のようなものが伴いますが、
一つの綻びが生活を全て破滅させてしまうような気がして、私にはうまくやっていける自信がありません。
私は自分の恒常性に自信がありません。

私が彼女との暮らしを続けるうえで、矛盾するようなことを言うけれど、
「いつでもこの暮らしを解消でき、もし解消したとしても我々の関係性は険悪にならないだろう」という安心感があります。

これからの人生、お互いどうなるかは全くもって予想がつきませんが、
きっとお互い大切な存在であることは変わらないかなぁとぼんやり思っています。

居心地を手探る

一緒に暮らし始めた当初は、生活リズムの違いもあって、
ふと「アイツどうしてるかな……」と結構考えてしまっている時期があったのですが
考えたところで相手のためになるわけではなく、
自分の思考リソースが削れるだけなので、少し心を離すことにしました。

優しくあるための距離感ってあるよね。

あとは、相手を労ったり心配したり祝ったりするのに、自分本意な言い方になってしまったり。
私はどちらかというと過干渉ぎみな家庭で育ったので、ヤなところを継承してしまっているな…...と凹みました。

今の居心地の良さに甘えず、言いたいことは言って、気になるところは直して、関係性は日々更新していかねばなぁと思います。

毎日ニコニコ元気なわけではないので、
自分の機嫌が悪い日も、相手の虫の居所が良くない日もありますけど、
それを自覚したうえでの基本そっとしておいてくださいスタイルに落ち着いています(良い距離感)。

ふたり暮らしを始めた頃は「毎日が修学旅行の夜みたいだな〜」と思ったものですが、
今もたまに修学旅行の夜みたいにふわふわした会話をしたり、
季節のイベントを盛大にやったり、疲れた時はなんかもうでっかいケーキ買って食べたり、
帰ったら気の合う話し相手がいる幸せを、日々噛みしめています。改めて言葉にすると照れくさいですね。
これからもよろしくお願いします。

参考:

同性ふたり暮らし宣言 - kokeのブログ
冒頭にも書きましたが、触発元のブログ記事です。
考えるきっかけ、書くきっかけを、ありがとうございます。

・親密性の変容(アンソニー・ギデンズ) https://www.amazon.co.jp/dp/4880592080/
参考文献というにはおこがましいのですが、大学時代に読んで、恋愛至上主義・結婚至上主義みたいなものへの違和感に向き合うための視点をくれた本です。
世間の何となくの雰囲気に対抗する自分なりの暮らしがしたいな、と夢見たものですが、今それを実現できていることに、嬉しさを感じています。
大学卒業以来、こういう骨太な本を全然読めていないので、リハビリがてら読み返そうかな……。

暮らしの参考文献としては、以下の二つを楽しく読みました。
阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし (阿佐ヶ谷姉妹) https://www.amazon.co.jp/dp/B0848NDQPW/
・オタク女子が、4人で暮らしてみたら。 (藤谷千明) https://www.amazon.co.jp/dp/B08GLC7S1D/


わかりやすい名前が付いた暮らしではなくたって、敷かれたレールに乗らなくたって、
自分にとって、自分たちにとって、居心地のいい暮らしを作っていこう。
そういう勇気を各所から貰って、今日も暮らしていきます。